こんにちは、草花こよみ管理人のYuuです。
多肉植物をカットして土へ挿したあと、迷いやすいのが水やりです。
「すぐ水を与えたほうが根が出そう」「腐るのが怖いから発根まで完全に断水したほうがいい」と、正反対の情報を見かけることもあります。
ここで大切なのは、多肉植物の挿し木に「切ってから必ず○日後に水やり」という共通ルールはないことです。
種類や茎の太さ、季節、温度、湿度によって、切り口が乾くまでの時間も発根の速さも変わります。
基本は、切った直後に通常株と同じような水やりをするのではなく、まず切り口を十分に乾かします。
切断面が乾いてカルス化してから水はけのよい用土へ挿し、びしょびしょにしない範囲で必要な水分を補いながら発根を待つという考え方です。
この記事では、水やりを始めるタイミングから切り口の乾かし方、発根確認、置き場所、土、霧吹き、季節による違いまで順番に見ていきます。
記事のポイント
- 挿し木後に水やりを始める判断基準
- 切り口を乾かす理由とカルスの見方
- 発根前と発根後で変わる水分管理
- 腐敗や発根しないときの確認ポイント
挿し木の水やりはいつから
多肉植物の挿し木では、「挿してから何日経ったか」よりも切り口が乾いているか、用土が湿りすぎていないか、発根が始まっているかを見て水やりを調整するほうが適しています。
切り口が乾いてからが基本
茎を切った直後は、切断面がまだみずみずしく傷口が開いた状態です。
この段階で濡れた用土へ挿したり、切り口へ水をかけたりすると、腐敗につながる可能性があります。
そこで、まず風通しのよい場所で切り口を乾かし、表面が乾いて閉じた状態になるまで待ちます。
この傷口が乾いて安定していく過程が、一般にカルス化と呼ばれるものです。

UC Marin Master Gardenersでは、多肉植物の茎を切ったあと24〜48時間ほど待って切り口をカルス化させ、その後に水はけのよい培地へ植える方法が紹介されています。
植え付け後についても、土をわずかに湿った状態にしつつ、過剰な水やりを避けるよう案内されています。
(出典:UC Marin Master Gardeners「Propagating Succulents」)
水やり開始の考え方
「3日後になったから水を与える」のではなく、切り口が十分乾いたことを確認してから発根用土へ挿し、その後は過湿にならない程度の水分を管理するのが基本です。
日数だけでは決められない
多肉植物という言葉には、エケベリア、セダム、クラッスラ、アエオニウム、カランコエなど、性質の異なる多くの植物が含まれます。
細いセダムの茎と、太く水分を多く含む大型の茎では、切断面が乾くまでの時間は同じではありません。
さらに、乾燥した日と湿度の高い日でもカルス化の進み方は変わります。
RHSでは、サボテンや多肉植物の挿し穂について、切断面がカルス化するまで植物によって1日から1週間ほどかかる場合があるとしています。
(出典:RHS「How to grow houseplant cacti and succulents」)
つまり、「必ず1日」「必ず3日」「1週間乾かせば絶対に大丈夫」と固定するより、実際の切断面を見ることが大切です。
| 段階 | 水分管理の目安 |
|---|---|
| 切った直後 | 切り口を濡らさず乾燥させる |
| カルス形成中 | 切断面へ水をかけない |
| カルス形成後 | 水はけのよい用土へ挿す |
| 発根待ち | 過湿を避けながら必要な水分を補う |
| 発根後 | 徐々に通常の水やりへ近づける |
| 十分に定着後 | 水やりと乾燥を繰り返す |
切り口を乾かす理由
多肉植物の挿し木で水やりより先に考えたいのが、切断面の扱いです。
普通の草花と同じ感覚で、切った茎をすぐ湿った土へ入れるのはおすすめできません。
腐敗を防ぐために乾かす
多肉植物は、葉や茎の中へ水分を蓄えられる植物です。
まだ根がない挿し穂でも、すぐに水分が尽きてしまうわけではありません。
むしろ注意したいのは、切ったばかりの傷口を湿った状態にしてしまうこと。
発根するより先に切断部分が傷み、茎が腐る可能性があります。
カルス化は「根を強制的に出す作業」というより、発根を待てる状態まで切り口を安定させる工程と考えると分かりやすいですよ。
◆Yuuのワンポイントアドバイス
乾燥日数だけを数えるより、切断面を実際に見てください。
まだ湿っていたり、切りたての色や質感が残っていたりするなら、カレンダー上の日数だけを理由に植え付けを急がないほうが扱いやすいです。
カルスは発根保証ではない
カルスができたからといって、その直後に必ず根が出るわけではありません。
発根には植物の種類だけでなく、挿し穂の状態、気温、光、水分、生育している時期なども関係します。
元気な株から取った挿し穂でも、気温や生育サイクルによっては根が動き出すまで時間がかかることがあります。
そのため、カルス化は「発根成功のサイン」ではなく、発根管理へ移るための一つの段階として考えてください。
発根前の水分をどう保つか
切り口が乾いて土へ挿したあとも、成株と同じ水やりにはしません。
まだ十分な根がないため、吸える水の量と用土へ与える水の量が合わないからです。
最初からたっぷり与えない
根が張った多肉植物では、鉢土全体へしっかり水を通し、その後十分に乾かす管理がよく使われます。
しかし、未発根の挿し穂では事情が違います。
土の中へ大量の水が残っても、その水を吸収する根がほとんどありません。
湿った時間だけが長くなれば、切り口や茎を傷める原因になります。
発根を待つ段階では、「大量の水を与えること」より「土を長時間びしょびしょにしないこと」を優先しましょう。

完全断水が絶対ではない
多肉植物の挿し木では「根が出るまで一滴も水を与えない」「挿してから1〜2週間は断水する」と説明されることがあります。
こうした方法で管理される種類や栽培環境はありますが、多肉植物全般へ適用できる絶対的なルールではありません。
大学などの園芸資料では、カルス化した挿し穂を、あらかじめわずかに湿らせた培地へ挿す方法も紹介されています。
UC Marin Master Gardenersでも、植え付け後の土を少し湿った状態に保ち、過剰な水やりを避ける方法が案内されています。
発根まで完全断水するかどうかだけで二択にせず、切り口を乾かしたうえで過湿を避けると考えるほうが、多くの種類へ応用しやすくなります。
「7日後から水やり」などの日数を固定しない
同じ鉢でも、気温が高く乾燥した時期と、低温で湿度の高い時期では用土の乾き方が違います。
水やりの間隔はカレンダーではなく、土と挿し穂の状態を見て調整してください。
水やり頻度も固定しない
発根中の水やりを「3日に1回」「週に1回」と決めてしまうと、季節が変わったときに過湿や乾燥につながりやすくなります。
用土の乾き方は、鉢の大きさ、鉢の素材、土の粒、排水穴、風通し、温度、湿度などで変わります。
表面だけ乾いていても鉢の内部に水分が残っていることがあります。
特に保水性の高い土を深い鉢へ入れている場合は、見た目だけで追加の水やりを決めないようにしましょう。
霧吹きだけで管理できるか
「発根するまでは霧吹きで毎日湿らせればよいのか」という疑問も多いところです。
ここは葉挿しと茎挿しを分けると理解しやすくなります。
茎挿しは過剰なミストに注意
茎挿しは、ある程度まとまった茎や葉を持っているため、挿し穂自体に水分が蓄えられています。
毎日霧吹きで茎や葉までびっしょり濡らす必要はありません。
風通しの悪い場所で頻繁にミストを続けると、乾かすはずの切断部分や株元まで湿った状態が続くことがあります。
必要なのは「葉を濡らすこと」ではなく、発根培地が極端に乾き続けないよう調整することです。
葉挿しは表面の湿り方を見る
葉挿しでは、茎を深く挿すのではなく、葉を発根用土の表面へ置いて管理する方法がよく使われます。
この場合は表面を軽く湿らせる目的で霧吹きを利用しやすいものの、だからといって毎日葉を濡らす必要はありません。
葉そのものへ水が残ったり、高湿度が続いたりすると腐ることがあります。
霧吹きを使うかどうかより、湿らせすぎないことを基準にしてください。
挿し木に向く土と容器
水やりの失敗を減らすには、水の量だけでなく土と容器も重要です。
水が抜けにくい環境では、少量の水でも湿った状態が長く続いてしまいます。
水はけと通気性を重視する
挿し木には、水を含みすぎず、余分な水が抜けやすい発根培地が適しています。
園芸資料では、サボテン・多肉植物向けの培養土、パーライトなど、水はけのよい資材が発根培地として利用されています。
家庭で始めるなら、配合を細かく作り込む前に、水はけのよい多肉植物用培養土を使う方法も分かりやすいでしょう。
重要なのは「この配合なら必ず成功する」という数字ではなく、余分な水が抜け、用土の中へ空気が入りやすいことです。
排水穴のある容器を選ぶ
発根前の挿し穂を、水が溜まる容器へ植えるのは避けたいところです。
底穴のない容器では、外から土の湿り具合を判断しにくく、鉢底に水が残っていても気付きにくくなります。
特別な理由がなければ、底から余分な水が抜ける容器のほうが管理しやすいですよ。
大きすぎる鉢を避ける
挿し穂が1本なのに大きな鉢へ植えると、その小さな株に対して用土の量が多くなります。
土が増えるほど保持する水分も増え、鉢全体が乾くまで時間がかかりやすくなります。
発根前には大きな根域が必要なわけではありません。
複数の挿し穂を管理するときは、小型の挿し木トレーや育苗ポットも使いやすい選択肢です。
PR
多肉植物の挿し木に使う土と容器を探す
挿し木用の資材をそろえるなら、水はけのよい多肉植物用培養土と、挿し穂の大きさに合った小型の育苗ポットやトレーから確認すると選びやすいです。
※価格、在庫、商品の仕様は販売先で変わる場合があります。
購入前にリンク先で最新情報をご確認ください。
同じ土を使っても、容器の大きさや素材によって乾燥速度は変わります。
「前回3日で乾いたから今回も3日」と考えず、毎回の湿り具合を確認するのがコツです。
発根まで置く場所
水分管理が合っていても、置き場所が極端だと挿し穂が消耗します。
発根前は根から十分な水を補給できないことを前提に環境を選びましょう。
明るい間接光で管理する
未発根の挿し穂を強い直射日光へ置くと、葉や茎から水分が失われても根から補給できません。
特に気温が高い時期の強い日差しでは、挿し穂が急速にしおれることがあります。
発根中は、明るい日陰や強い直射光を避けた場所が基本です。
ただし「直射日光を避ける」と「暗い場所へ置く」は同じではありません。
葉を持つ挿し穂は発根中も生きているため、暗所へ閉じ込めるのではなく、適度な明るさを確保してください。
風通しを確保する
多肉植物では、一般的な草花の挿し木のように、袋で覆って高湿度を保つ方法が向かない場合があります。
水分が蒸発しにくい場所で土を湿らせ続けると、切り口や株元が乾きにくくなります。
空気が適度に動き、用土が自然に乾いていく環境を意識しましょう。
ただし、強風へ直接さらして急速に乾燥させる必要はありません。
目指したいのは「蒸れない環境」です。
発根したか確認する方法
鉢の中に挿している茎は、外から根が見えません。
そこで気になるのが、いつ発根したと判断すればよいかです。
軽い抵抗を目安にする
発根が進むと、新しい根が土をつかむため、挿し穂へごく軽く触れたときに以前より動きにくくなることがあります。
ここで強く引っ張るのは避けてください。
形成されたばかりの細い根を切ってしまう可能性があります。
確認するときは引き抜くのではなく、ごく軽く触れたり、わずかに動かしたりする程度で十分です。
新しい成長も手掛かりになる
新芽が動き始めることも発根を考える材料になります。
ただし、多肉植物の挿し穂は茎や葉の中に水分と養分を蓄えているため、根が十分形成される前に芽が動くこともあります。
「新芽が出たから完全に発根した」と決めつけず、新しい成長と株の固定感を合わせて見ると判断しやすくなります。
発根まで数週間かかることも
発根期間も種類によって異なります。
数週間で根が形成される種類がある一方、環境や植物によってはさらに長くかかります。
そのため「2週間経ったのに根が出ないから失敗」とすぐ処分する必要はありません。
茎が硬さを保ち、腐敗がなく、状態が大きく悪化していないなら、置き場所や気温、水分を確認しながら様子を見る余地があります。
◆Yuuのワンポイントアドバイス
発根が気になると何度も鉢から抜いて確認したくなりますが、新しく出た根ほど傷みやすいものです。
腐敗など明確な異常がなければ、頻繁に抜かず、株の固定感や新しい成長から判断するほうが無難です。
発根後の水やりへ移す方法
発根が確認できたら、発根前とまったく同じ水分管理を続ける必要はありません。
ただし、根が1本出た瞬間から成株と同じ量へ切り替えるのも急ぎすぎです。
少しずつ通常管理へ戻す
発根後は根から水を吸収できるようになるため、株の状態を見ながら徐々に通常の水やりへ近づけます。
最終的には、鉢土へ水を行き渡らせ、余分な水を排出し、その後は用土が乾くまで待つという多肉植物の基本的な乾湿サイクルへ移していきます。
発根直後は根量がまだ少ないため、鉢の大きさや乾き方を確認しながら移行してください。
常時湿らせる管理にはしない
発根したからといって、ずっと湿った土を維持する必要はありません。
根が増えてきた多肉植物では、土が常に湿っている状態より、水を与える時期と乾燥する時期のメリハリを作ることが大切です。
水を増やすとは「回数をむやみに増やす」意味ではなく、根の形成に合わせて成株に近い水管理へ切り替えていくことだと考えてください。
茎挿しと葉挿しの違い
多肉植物を増やす方法として、茎挿しと葉挿しはよく利用されます。
ただし、植物の形も発根位置も違うため、水の扱いをまったく同じにはできません。

| 項目 | 茎挿し | 葉挿し |
|---|---|---|
| 切り口 | 茎の切断面を乾かす | 葉の付け根を乾かす |
| 植え方 | 茎を用土へ挿す | 土の表面へ置く方法が多い |
| 初期の水分 | 過湿を避ける | 表面を軽く湿らせる方法がある |
| 主な注意点 | 株元の腐敗 | 葉の腐敗 |
| 発根確認 | 抵抗や新しい生育 | 根や子株を目視しやすい |
葉挿しは付け根も重要
葉挿しでは、葉なら何でも途中から切れば増やせるわけではありません。
種類によっては、茎に接していた葉の付け根部分がきれいに残っていることが重要です。
エケベリアなどでは、途中で折れて付け根側の組織が残っていない葉は、正常に子株を形成できない場合があります。
水やりだけを変えても解決しないことがあるため、葉の取り方から確認しておきましょう。
茎挿しは株元を濡らしすぎない
茎挿しでは、土の中へ茎の一部が入ります。
根がない時期に土が常に湿っていると、発根部分になるはずの株元まで傷む可能性があります。
切り口を十分に乾かし、水はけのよい培地へ挿したうえで、用土の乾き具合を見ながら水分を調整することが基本です。
季節で発根速度は変わる
挿し木の水やりを考えるときは、植物そのものだけでなく季節も無視できません。
同じ挿し穂でも、気温や湿度が変われば土の乾き方と発根速度が変化します。
生育している時期を選ぶ
多くの植物では、活発に生育できる条件のほうが発根を進めやすくなります。
ただし、多肉植物をすべて「春と秋が最適」と一括りにすることはできません。
属や種によって生育しやすい温度が異なり、涼しい時期によく動く種類もあります。
「多肉植物だから○月」と決めるより、育てている種類がどの時期に生育しやすいのかを確認しておくと、水やりの判断もしやすくなります。
夏は蒸れと高温に注意する
夏は用土の表面が早く乾きやすい反面、風通しの悪い場所では高温と湿気が重なる場合があります。
表面だけを見て何度も水を追加すると、鉢の内部は湿ったままということもあります。
直射日光による乾燥と、鉢内の過湿という両方を確認してください。
冬は乾燥速度も確認する
気温が下がる時期は、水分の蒸発が遅くなる環境があります。
また、生育が緩やかになる種類では発根にも時間がかかる可能性があります。
暖かい時期と同じ間隔で機械的に水を与えるのではなく、土がどのくらいの速度で乾いているのかを見ながら判断しましょう。
種類による違いも確認する
「多肉植物の挿し木」とまとめても、それぞれ増やし方には違いがあります。
代表的なグループを例に、注意したいポイントを見ていきます。
エケベリアの場合
エケベリアは葉挿しと茎挿しの両方が利用される代表的な多肉植物です。
伸びた茎やロゼットを切る胴切りでも、切断面を乾かしてから発根させる考え方が使われます。
葉挿しでは、取った葉をすぐ湿った土へ埋めるのではなく、付け根を傷めないように扱い、切断部分を乾かしてから管理します。
セダムの場合
セダムには茎挿しで増やしやすい種類が多くあります。
ただし、セダム属として扱われる植物は非常に多いため、発根までの日数を一律にはできません。
茎が細い種類では太い多肉植物より切断面が早く乾く場合がありますが、「セダムなら翌日」と固定せず、切り口の状態を見てください。
クラッスラの場合
クラッスラも茎挿しや葉挿しが利用できる種類があります。
金のなる木として知られるクラッスラ・オバタも挿し木で増やせます。
厚みのある葉や茎に水分を蓄えているため、未発根時に土を常時湿らせるより、切断面を乾かしたうえで過湿を避けながら管理することが大切です。
アエオニウムの場合
アエオニウムも茎挿しを利用できる多肉植物ですが、生育する時期をほかの種類と完全に同じと考えないほうがよいでしょう。
品種や栽培環境によって生育の動きが違うため、カレンダーだけでなく株の状態を確認して挿し木の時期を選んでください。
挿し木が失敗するサイン
水やりを控えているのに元気がない、逆に水を与えたあと茎が柔らかくなったという場合は、単なる発根待ちではない可能性があります。
茎が黒く柔らかい場合
切り口や株元が黒褐色になり、半透明になったり、触るとぶよぶよしたりする場合は腐敗が疑われます。
特に悪臭がある、変色部分が上へ広がっているといった状態なら、そのまま水を追加するのは避けましょう。
健全部が残っている場合は、植物の種類や状態に応じて傷んだ部分を取り除き、清潔な切断面を再び十分乾かして仕立て直す方法が考えられます。
ただし、腐敗が広範囲なら回復できない場合もあります。
柔らかいから水不足とは限りません。
過湿によって組織が傷んでいる株へさらに水を与えると、状態が悪化することがあります。
葉のしわだけで判断せず、茎の硬さ、変色、用土の湿り具合も確認してください。
しわしわになった場合
未発根の挿し穂は根から十分吸水できないため、体内へ蓄えている水分を少しずつ使います。
そのため、発根までに葉へ多少のしわが出ることはあります。
しわを見つけた瞬間に大量の水を与えると、根のない株に対して土だけが過湿になるかもしれません。
用土が長期間完全に乾き切っているのか、切り口に異常はないか、茎が硬さを保っているかを合わせて確認しましょう。
根がなかなか出ない場合
数週間経っても発根を確認できない場合は、腐敗だけでなく温度や生育時期、光、挿し穂の状態などを見直します。
根を確認するため毎回土から抜くのは逆効果になることがあります。
まだ形成途中の根を傷める可能性があるためです。
切り口が腐っておらず株の状態が保たれているなら、「何日経ったか」だけで失敗と判断しないようにしてください。
水挿しで発根できるか
多肉植物を水へ挿して発根させる方法を見かけることもありますが、多肉植物全般の標準的な方法として考えるのは避けたほうがよいでしょう。
土での発根を基本に考える
植物によって水挿しで根が出る場合はあります。
ただし、種類による違いが大きく、多くの多肉植物では切断面をカルス化させ、水はけのよい培地へ挿す方法が一般的です。
「多肉植物は水挿しできない」と言い切るのも、「水へ入れるほうが簡単」と一般化するのも適切ではありません。
種類が分からない場合は、まずカルス化後に排水性のよい培地で発根させる方法を基本に考えるとよいでしょう。
植え替えと肥料のタイミング
根が出たあとも、すぐに大きな鉢へ移したり肥料をたくさん与えたりする必要はありません。
発根したばかりの根はまだ細く、扱いには注意が必要です。
根が増えてから植え替える
根が1本見えただけで、急いで植え替える必要はありません。
ある程度の根量ができ、挿し穂が用土へ定着してから植え替えるほうが、新しい根を傷めにくくなります。

植え替え先も極端に大きな鉢ではなく、根量と株の大きさに合うサイズを選んでください。
未発根時の肥料は急がない
挿し木直後に優先したいのは肥料ではなく、切り口の安定、発根、水分、光、通気性です。
根がない状態では肥料を積極的に吸収できません。
十分に発根して生育が始まってから、その植物の通常の施肥管理へ戻していけば十分です。
発根を急ぎたいからと肥料を濃くするのは避けましょう。
発根までの流れを確認
ここまでの管理を時系列にすると、水やりを「○日後」という一点で考えなくてよい理由が見えてきます。
| 段階 | 株の状態 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| 親株から切る | 切断直後 | 清潔でよく切れる道具を使う |
| 切り口を乾かす | 未発根 | 切断面を濡らさずカルス化を待つ |
| カルス形成後 | 発根準備 | 排水性のよい用土へ挿す |
| 発根待ち | 根がないか少ない | 長時間の過湿を避ける |
| 発根開始 | 細い根が形成 | 軽い抵抗や新しい成長を確認する |
| 根量が増える | 定着途中 | 徐々に通常の水やりへ近づける |
| 十分に定着 | 成株に近い状態 | しっかり与えて乾かす管理へ移る |
カルス形成までには1日程度から1週間程度という例がありますが、これは固定スケジュールではありません。
発根にも数週間以上かかることがあります。
最も大切なのは、切り口、用土の湿り方、腐敗の有無、発根の兆候を順番に確認することです。
多肉植物の挿し木FAQ
水やりと発根について、特に迷いやすい疑問をまとめます。
よくある質問(FAQ)タップすると回答が開きます。
Q1. 挿し木は何日後から水やりしますか?
A. 多肉植物全体に共通する固定日数はありません。
切った直後は切断面を乾かしてカルス化させ、十分乾いたことを確認してから水はけのよい用土へ挿します。
その後は土を長時間びしょびしょにせず、種類や環境に合わせて必要な水分を補ってください。
Q2. 発根するまで完全断水したほうがいいですか?
A. すべての多肉植物で完全断水が必要とはいえません。
カルス化した挿し穂を軽く湿らせた発根培地へ挿す方法もあります。
共通して重要なのは、切り口が新鮮な間に濡らさないことと、発根前の用土を長期間過湿にしないことです。
Q3. 2週間経っても根が出ないと失敗ですか?
A. 2週間だけで失敗とは判断できません。
発根期間は種類、温度、生育時期、挿し穂の状態などで変わり、数週間以上かかる場合もあります。
腐敗がなく株の状態が保たれているなら、何度も抜かずに環境を確認しながら待ちましょう。
Q4. 発根前は毎日霧吹きしてもいいですか?
A. 毎日必要とは限りません。
葉挿しでは用土表面を軽く湿らせる目的で霧吹きを使える場合がありますが、過剰なミストは葉や茎を腐らせることがあります。
霧吹きの回数を固定せず、用土の乾き方を見て判断してください。
Q5. 発根したらすぐ水を増やしていいですか?
A. 発根後は徐々に通常の水やりへ近づけます。
ただし、根が1本出ただけの段階では吸水できる量も限られます。
根量が増えて株が定着するのを見ながら、最終的に「しっかり水を与え、土が乾いてから次の水やりをする」管理へ移行してください。
挿し木の水やりまとめ
多肉植物の挿し木で水やりを始めるタイミングは、「切ってから○日後」ではなく、切り口が十分乾いてカルス化したかどうかを最初の判断基準にします。
切った直後は切断面を濡らさず乾燥させ、カルス化後に水はけと通気性のよい用土へ挿します。
発根を待つ間は、通常株のように毎回たっぷり与えるのではなく、用土を長時間びしょびしょにしないことが大切です。
発根するまで完全断水する方法だけが唯一の正解でもありません。
園芸機関の栽培資料では、カルス化した挿し穂をわずかに湿った培地で管理する方法も示されています。
発根までの時間にも幅があります。
数週間で動く株もあれば、種類や季節によってさらに時間が必要なこともあります。
新しい成長や軽い抵抗を確認しながら、根量が増えたら少しずつ通常の水やりへ戻していきましょう。
覚えておきたいポイント
- 切った直後は切り口を濡らさない
- カルス化までの日数を一律に決めない
- 未発根時は長時間の過湿を避ける
- 発根の有無を何度も抜いて確認しない
- 根量が増えたら通常の乾湿サイクルへ移す
エケベリアやセダムなど、同じ多肉植物でも生育時期や発根特性は異なります。
品種固有の管理については、購入元、生産者、植物園などが公開する情報も確認し、その株の状態と栽培環境に合わせて判断してください。